育休中に住宅ローンを組めるかどうか、多くの人が疑問に思う点です。
収入が減少する育休中に住宅ローンを借りることが可能か、どういった条件や準備が必要なのか、具体的な方法について詳しく解説します。
1. 育休中でも住宅ローンは組める
結論から言うと、育休中でも住宅ローンを組むことは可能です。
しかし、全ての金融機関が対応しているわけではなく、育休中専用の住宅ローン商品は現時点で存在しません。
そのため育休中に住宅ローンを借りる際には、通常の住宅ローンを利用しますが、審査が厳しくなる場合があります。
ただし、令和3年3月26日に金融庁から「育児休業等を取得する個人顧客向けローンに係る留意事項について」預金取扱金融機関に対して下記のように周知がありました。
育児休業等を取得する個人顧客向けローンに係る留意事項について
- 育児休業(産前産後休業を含む。以下同じ。)や介護休業を取得中又は取得予定の顧客(以下、「育児休業等を取得する顧客」という。)から、住宅ローン等(注)の申込みを受けた場合は、育児休業等を取得することのみをもって一律に謝絶することなく、育児休業等の取得を踏まえた返済計画など顧客の状況やニーズをきめ細かく把握し、顧客の立場に立って対応すること。
(注)住宅ローン、マイカーローン、教育ローン、リフォームローン等の個人向けローン- 育児休業等を取得する顧客から、既存の住宅ローン等の条件変更等に係る申出を受けた場合についても上記1.と同様、育児休業等の取得を踏まえた返済計画など顧客の状況やニーズをきめ細かく把握し、顧客の立場に立って対応すること。
- 上記1.及び2.について適切な対応を徹底するため、顧客説明態勢及び融資審査態勢(審査基準を含む。)を確認し、必要に応じて見直し等を行うこと。
このように、育児休暇中だからといって一方的にローンを拒否されることはありません。
しかし、だからといって誰にでもローンが借りれるかというとそういう訳ではありません。
育休中に住宅ローンを組む際の最大の課題は、安定した収入があるかどうかを証明することです。
金融機関は、育休中の一時的な収入減少に対して慎重になります。
しかし、育休前の収入や復職後の見込収入を適切に証明することで、審査を通過する可能性が高まります。
2. 育休中の住宅ローン審査ポイント
金融機関が住宅ローンを審査する際に重視するポイントは、主に以下の通りです。
- 収入の安定性
- 職場復帰の可能性
- 育休中の返済可否
- 健康状態
これらのポイントを押さえ、適切な準備を行うことが重要です。
2.1. 収入の安定性
育休中は一時的に収入が減少することが一般的です。
育児休業給付金が支給される場合でも、その金額は通常の給与の一部の約66%に過ぎません。
その点が心配されますが、金融機関は育休中の収入ではなく、育休前の収入や復職後の見込収入を重視する場合が多いです。
育休中の収入の安定性を証明するためには、以下の書類が必要です。
- 育休前の1年分の源泉徴収票
- 育休取得の直近3ヶ月の給与明細
- 復職後の見込収入を示す勤務先発行の証明書
これらの書類を提出することで、金融機関に収入の安定性を証明できます。
2.2. 職場復帰の可能性
金融機関は、育休後にスムーズに職場復帰できるかどうかを重視します。
復職の可能性を証明するためには、以下の書類が有効です。
- 職場復帰の時期が記載された勤務先発行の証明書
- 産休・育休から復帰した先輩社員がいることの証明書
- 保育園や幼稚園が見つからない場合でも親に預けられることの証明
これらの書類を提出することで、復職の可能性が高いことを示し、金融機関の信頼を得ることができます。
2.3. 育休中の返済可否
育休中の住宅ローン返済能力も重要なポイントです。育休中は収入が減少するため、育休中の収入で返済が可能かどうかを確認されます。育休中の収入が減少しても、以下の方法で返済能力を示すことができます。
- 配偶者の収入証明書を提出する
- 貯蓄残高を示す通帳の写しを提出する
育休中の住宅ローン返済に不安がある場合は、以下の方法で対策を講じることができます。
- ローン返済の開始を復職後に設定する
- ローン返済期間を長く設定し、毎月の返済額を減らす
2.4. 健康状態
多くの金融機関が、住宅ローンを借りる際に団体信用生命保険(団信)への加入を条件としています。
団信は、ローン契約者が死亡または高度障害になった場合、保険会社がローン残債相当額を返済する保険です。
団信に加入するためには、健康状態が良好であることが求められます。
育休中は生活の変化やストレスから体調を崩しやすくなることがあるため、健康状態を維持し、必要に応じて健康診断を受けることが重要です。
3. 育休中に利用できる住宅ローンの種類
共働き夫婦の場合、収入合算タイプやペアローンなど、夫婦の収入を合わせて利用する方法があります。
- ペアローン
- 収入合算(連帯債務型)
- 収入合算(連帯保証型)
これらの方法について、詳しく見ていきましょう。
3.1. ペアローン
ペアローンは、夫婦がそれぞれ自分の名義で住宅ローンを契約し、一つの物件を購入する方法です。
夫婦ともに契約者となり、お互いの連帯保証人となるため、二人とも安定した収入を持っていることが前提条件となります。
ペアローンのメリットとして、借入金額や金利タイプ、返済期間を夫と妻それぞれが収入やライフプランに合わせて調整できることが挙げられます。
しかし、連帯債務型よりも借入条件が厳しく、育休中でもパートナーが肩代わりして二人分を返済できる収入が求められます。
3.2. 収入合算(連帯債務型)
収入合算(連帯債務型)は、夫婦のうち収入の高い方が契約者となり、もう一方が連帯債務者となって、一つの住宅ローンを契約する方法です。
連帯債務者も全額の債務を負うため、二人とも安定した収入があることが前提となります。
連帯債務者に対する審査はペアローンよりやさしく、育休中の人でも利用しやすい方法です。
また、契約時の事務手数料や保証金を一人分に抑えられるメリットがあります。
3.3. 収入合算(連帯保証型)
収入合算(連帯保証型)は、夫婦のどちらかが契約者となり、もう一方が連帯保証人となって、一つの住宅ローンを契約するタイプです。
連帯保証人は基本的に債務を負いませんが、契約者が返済できなくなった場合には支払いの義務が生じます。
育休中のお母さんが連帯保証人となって契約するケースが一般的です。
この方法は、連帯債務型に比べて審査がやや厳しくなりますが、育休中でも利用できる場合があります。
以上のように、育休中でも借りることができるローンはあります。
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というサイトで調べることができます。
4. 育休中の住宅ローン審査を通過するための具体的な準備
育休中に住宅ローンを借りるためには、以下の具体的な準備が必要です。
- 源泉徴収票の準備
- 職場復帰証明書の用意
- 健康状態の確認
これらの準備をしっかりと行うことで、審査を通過する可能性が高まります。
4.1. 源泉徴収票の準備
育休前の1年分の源泉徴収票、または育休取得の直近3ヶ月の給与明細とボーナスから割り出した金額を提出します。
これにより、育休前の収入を証明し、収入の安定性を示すことができます。
4.2. 職場復帰証明書の用意
職場復帰の時期が記載された勤務先発行の証明書や、産休・育休から復帰した先輩社員がいることの証明書を用意します。
これにより、職場復帰の可能性が高いことを証明し、金融機関の信頼を得ることができます。
4.3. 健康状態の確認
団信への加入条件を満たすため、健康診断を受け、健康状態を確認しておくことが重要です。
健康状態が良好であることを証明することで、団信への加入がスムーズに進みます。
5. 育休中の住宅ローンに関するよくある質問
ここでは、育休中の住宅ローンに関するよくある質問を3つ紹介します。
- 育休中に組める住宅ローンは通常と比べて必要書類に違いはあるか?
必要書類は金融機関によって異なりますが、一般的には源泉徴収票、確定申告書、育休証明書、見込年収証明書などが必要です。 - 育休中に優遇を受けられる住宅ローンはあるか?
一部の金融機関では、育休中の借り入れに対して金利引き下げや手数料免除などの優遇措置を実施している場合があります。利用する金融機関の優遇措置を確認しましょう。 - 育休中で働いていない分の源泉徴収票は住宅ローン控除の申請に必要か?
住宅ローン控除を受けるためには、初年度に源泉徴収票を用意して確定申告を行う必要があります。
育休中で収入がない場合でも、確定申告を済ませておくと、2年目以降は年末調整のみで控除を受けられます。
6. まとめ
育休中に住宅ローンを借りることは可能ですが、金融機関の審査は通常より厳しくなることがあります。
収入の安定性や職場復帰の可能性を証明するための書類をしっかりと準備し、健康状態を確認することが重要です。
また、育休中の年収評価は育休前の収入や復職後の見込年収で行われるため、勤務先に証明書の発行を依頼するなど、適切な対応が求められます。
育休中の住宅ローンに関する情報をしっかりと把握し、必要な準備を行うことで、育休中でも安心して住宅ローンを組むことができるでしょう。