「育児休暇の間に何か新しいことを始めたい!」
本記事では、このようにお考えの方に向けて、内職と副業の違いを踏まえた上で、育休中に内職と副業のどちらを始めるべきなのか、当サイトでの検討結果を記載します!
なお、育児休暇の間に始められるオススメの副業は当サイトの記事「育休中におすすめの副業は何か?注意点は?」にまとめていますので、こちらも是非ご覧ください!
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1. 内職とは?
最初に、「内職」の意味を考えます。
現在では副業と同じ意味で使用されることもあります。
しかし、学習院大学の橋本陽子教授の論文「なぜ内職にだけ家内労働法があるのか」には、次のような記載があります。
「内職」 という用語が、世帯主以外の者、とくに主婦が行う家計補助的就労というイメージをもつことがうかがえよう。(省略)内職は、家内労働とほぼ同義と捉えてもよいことがわかる。
なぜ内職にだけ家内労働法があるのか
内職は、家内労働法の対象となる「家内労働」のことを指すと考えられます。
具体的には、次の5つの要件をいずれも備えているものが「内職」になります(参照:東京労働局「家内労働法のあらまし」)。
- 製造・加工業者や販売業者又はこれらの請負業者から委託を受けること。
- 物品の提供を受け、その物品を部品、附属品又は原材料とする物品の製造、加工等に従事すること。
- 委託業者の業務の目的である物品の製造加工などを行うこと。
- 主として、労働の対償を得るために働くものであること。
- 自己ひとりで、又は同居の家族とともに仕事をし、常態として他人を使用しないこと。
物品の製造や加工等が対象となるため、かなり種類は限定されます。
厚生労働省が運営するホームワーカーズウェブにも、次のような記載があります。
自営型テレワークは、パソコン等の情報通信機器を活用し、インターネットを通じて成果物の作成や役務の提供をやりとりするという点で、家内労働法の適用を受ける家内労働者とは異なります。
厚生労働省|ホームワーカーズウェブ
家内労働者とは、在宅での働き方のうち、製造・加工業者などからの物品の提供を受けて、物の製造、加工などをする人のことです。
2. 内職の具体例は?
では、内職には、具体的にはどのような仕事があるでしょうか。
育休中に始められる内職としては、次のようなものが挙げられます。
- シール貼り
- 袋詰め(梱包)
- ミシン縫製
- カプセル詰め(ガチャガチャ)
- ポケットティッシュへのチラシ広告入れ
いずれの仕事も、単純な作業が多くなるため、初心者でも始めやすいでしょう。
3. 内職による収入金額は?
では、育休中に内職をすることにより、どのぐらいの収入を得られることができるのでしょうか。
令和5年度の家内労働等実態調査の結果は、次のようになっています。
令和5年9月分の家内労働者の1時間当たりの工賃額をみると、「200~400 円未満」が28.3%(令和2年度29.7%)と最も多く、1000 円未満が約8割を占めている。また、1時間当たりの平均工賃額は、522 円(令和2年度520円)となっている。
厚生労働省|家内労働等実態調査|令和5年度
1時間当たりの平均工賃額が522円というのは、相当低いように感じられます。
他方で、同じ調査では、次のような結果も得られています。
現在の家内労働についての継続希望は、「続けたい」者が90.5%(令和2年度92.4%)を占める。
厚生労働省|家内労働等実態調査|令和5年度
内職を続けたいと考えている人が9割を超えていることからすれば、得られる収入が少ないとしても、スキマ時間に行うことができるなどのメリットが大きいのかもしれません。
4. 内職は副業よりもオススメできるか?
ここまで、内職の定義や具体例、内職による収入を見てきました。
このような内職の性質を踏まえると、次のような方には、育休中に内職を始めることをオススメできます。
- 具体的に始めたい副業が決まっていない。
- 月に2〜3万円で良いから安定的に稼ぎたい。
- 単純作業が苦にならない。
内職では、月に5万円以上の収入を得ることは、あまり期待できません。他方で、単純作業のため、育休中に始めるのは比較的簡単であり、月に2〜3万円であれば、すぐに得られるでしょう。そのため、単純作業が苦にならない方で、月2〜3万円得られれば十分と考えている方には、副業よりも内職がおすすめできそうです。
これに対し、次のような方には内職よりも副業がおすすめです。
- 単純作業が苦手。
- 安定した少額の収入よりも、高額収入が得られるチャンスを狙いたい。
副業は、継続的に仕事を受注できるようになるまで時間がかかる可能性があります。他方で、スキルを向上させることで、高単価の仕事を得られる可能性を有しています。
育児休暇取得中に自分のスキルを向上させるモチベーションのある方、特に育休後も使えるスキルを身につけておきたいと考えている方は、内職よりも副業を始める方が良いでしょう。
5. 育休中の内職や副業の注意点
育児休暇中に内職や副業を始めることを考えている方は上記のような基準で、内職を始めるか、それとも副業を始めるかを選択するのが良いと考えます。
ただ、いずれにしても、特に本業が別にある場合、いくつか注意しておくべき事項があります。
そもそも本業が別にある場合には「内職」には該当しないかもしれません。
2.1 内職や副業が許されない可能性
まず、本業として雇用契約を締結している会社が内職や副業を禁止している可能性があります。
就業規則などで内職等が禁止されていないか、十分に確認するようにしましょう。
就業規則などで副業が禁止されている場合に副業をしたとしても、直ちに解雇等の懲戒処分が有効になるとは限りません。実際に、副業を理由とする解雇を無効と判断した裁判例も存在します(広島地判昭和59年12月18日・ 昭和59(ヨ)第380号など)。しかし、裁判手続への参加などの無駄な時間と費用が必要になる可能性があるため、就業規則などで副業が禁止されている場合には副業しない方が良いでしょう。
2.2 育児休業給付金が打ち切られるリスク
次に、育休中の内職等に費やす時間が長くなると、育児休業給付金が打ち切られる可能性があります。
具体的には、1か月に11日以上かつ80時間を超えて内職等に従事した場合には、育児休業給付金は支払われないと考えられます。
詳細は当サイトの記事「育休中の副業はいくらまでが合理的か?業務委託の方が良い?」でも説明していますので、ご参照ください。
特に副業に関しては、「業務委託の場合であれば、制限されない!」という記事を多く見ますが、この解釈にはリスクがあると考えますので、その点も上記記事をご参照ください。
2.3 確定申告の必要性
最後に、年間の収入額によっては、確定申告が必要になると考えられます。
内職を専業とする場合、基礎控除の金額が年間48万円と決まっている関係で、所得が年間48万円を超えると課税される所得があるため、確定申告が必要です(参照:国税庁「基礎控除」)。
他方、本業が別にある場合、副業等による所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。
6. まとめ
本記事では、「育休中は内職と副業のどちらを選ぶ?おすすめは?」と題し、内職の意味を確認した上で、内職の具体例や、内職による収入の平均額等を確認しました。
また、そこで確認した内職の性質を踏まえて、「育児休暇取得中に始める場合に、内職と副業のいずれがおすすめか?」についても、当サイトの検討結果を記載しました。
その上で、育休中に副業や内職を始める場合の注意点についても、ざっくりとご説明しました。
本記事が、育休中に副業や内職を始めることを検討される方の参考になれば幸いです。